それぞれの楽しみ方 〜ハロウィンが教えてくれた成長のかたち〜

秋の深まりとともに、「ブリッジ」では恒例のハロウィンパーティーを開催しました。毎年この時期になると、子どもたちの様子に微妙な変化が見られます。

今年も小学3〜4年生の子どもたちは、思い思いのお化けに仮装して元気いっぱい。その一方で、上級生たちからは「もう仮装とかちょっと...」という声も。職員からの「お菓子の掴み取りに参加するなら、ちょっとだけでも仮装してみない?」という誘いに、何人かは小さな耳やマントをつけることを選びました。

中には「今年は仮装しない」とはっきり意思表示する子もいます。私たち職員は、それも成長の過程での自己表現のひとつとして受け止めています。子どもたちが自分の気持ちを素直に表現できる環境づくりも、私たちの大切な役割だと考えているからです。

とはいえ、年々仮装する子が減っていくのを見るのは、正直少し寂しいものがあります。つい数年前まで、職員と一緒にワイワイと仮装を楽しんでいた子たちが、少しずつ大人への階段を上っていく…。成長を喜ばしく思う一方で、あの無邪気な笑顔が懐かしくなる瞬間でもあります。

しかし、そんな複雑な心境も、メインイベントの「お菓子の掴み取り」が始まると吹き飛びます。このときばかりは年齢に関係なく、みんなが目を輝かせるのです。掴み取り用の箱は、子どもたちと職員が一緒になって作り上げた特製のもの。中が少し見える工夫を施したデザインに、期待感が高まります。

「どんなお菓子が取れるかな」 「うまく取れるといいな」 普段はクールを装う上級生たちも、この瞬間ばかりは素直に期待を口にします。

ルールはシンプル。片手で取れた分だけが自分のものになります。 一見簡単そうなこのチャレンジも、実際にやってみると意外と難しいもの。 真剣な表情で箱に手を伸ばす子、慎重に狙いを定める子、思い切り挑戦する子...。 それぞれの個性が光る瞬間でした。

「やった!」 「見て見て、こんなに取れたよ!」 嬉しそうな声と笑顔があふれ、部屋中が温かな雰囲気に包まれました。仮装をしなかった子も、この時ばかりは屈託のない笑顔を見せてくれます。

このパーティー、実は子どもたちの成長を支える大切な機会にもなっています。 箱作りでの共同作業、順番を守る経験、お菓子を分け合う時間...。 そして何より、自分らしさを表現する勇気と、他者の選択を認め合う心が育まれていくのを感じます。

パーティーの終わりには、みんなでテーブルを囲んでお菓子を食べながら、ハロウィンの思い出話に花を咲かせました。それぞれの年齢なりの関わり方で行事を楽しむ姿に、新しい発見と喜びを感じる一日となりました。

一つひとつの行事に、子どもたちの笑顔と成長のヒントが詰まっています。 年齢による興味の違いや気持ちの変化を受け止めながら、 これからも「ブリッジ」では、療育の中にさりげない楽しさを織り交ぜ、 子どもたちの等身大の成長をサポートしていきたいと思います。